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M&A意向表明書(LOI)の書き方|提出タイミングと記載9項目

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結論から先に

この記事で分かること

  • M&Aの意向表明書(LOI)とは?
  • M&A意向表明書を提出するタイミング
  • M&A意向表明書の書き方と記載9項目
  • 個人M&Aで会社を買う前に知っておきたい注意点

M&Aの意向表明書(LOI)とは?

M&Aにおける意向表明書(LOI:Letter of Intent)とは、買い手が売り手に対して、会社の買収を検討したいという意思と、希望する基本的な条件を書面で伝えるための書類です。 売り手にとっては、複数の買い手候補の中から交渉を進める相手を絞り込むための判断材料となり、買い手にとっては、本格的な交渉に入る前に自社の意向を伝え、相手との認識のズレをなくす役割があります。

意向表明書の提出は法律で義務付けられているわけではなく、省略されることもあります。 しかし、特に複数の買い手がいる場合や、条件を整理して円滑に交渉を進めたい場合には、実務上多くのケースで作成されます。

基本合意書(MOU)との違い

意向表明書と似た書類に「基本合意書(MOU:Memorandum of Understanding)」があります。両者の主な違いは、当事者の合意の有無です。

  • 意向表明書(LOI):買い手が売り手に対し、一方的に買収の意思と希望条件を提示する書面です。
  • 基本合意書(MOU):意向表明書の内容をもとに交渉し、売り手と買い手の双方が合意した内容をまとめた書面です。

一般的には、意向表明書の提出後に、より具体的な条件を詰めて基本合意書を締結するという流れになります。 ただし、「LOI」という言葉が基本合意書を指して使われることもあるため、どちらの書類を指しているか都度確認することが重要です。

法的拘束力について

意向表明書は、原則として法的拘束力を持ちません。 これは、詳細な調査であるデューデリジェンス(DD)を実施する前の段階で提示されるものであり、記載された買収価格や条件は、その後の調査や交渉によって変更される可能性があるためです。 そのため、通常は「本書面に法的拘束力はない」という旨の一文が記載されます。

ただし、「独占交渉権」や「秘密保持義務」といった特定の条項については、法的拘束力を持たせることが一般的です。 これらの条項に違反した場合、損害賠償などを請求される可能性があるため、どの条項に拘束力があるのかを慎重に確認する必要があります。

M&A意向表明書を提出するタイミング

意向表明書を提出する一般的なタイミングは、経営者同士のトップ面談が終わり、基本合意書を締結するまでの間です。

この段階で提出することで、買い手は売り手に対して交渉を続ける意思を示し、その後のデューデリジェンスや最終契約に向けた交渉を独占的に進める権利(独占交渉権)を得ることを目指します。 売り手側は、受け取った意向表明書の内容を比較検討し、どの買い手候補と交渉を本格化させるかを判断します。

M&Aのプロセス全体の中では、以下のような位置づけになります。

  1. M&Aの検討・専門家への相談
  2. 案件探し・候補先の選定
  3. 秘密保持契約(NDA)の締結
  4. トップ面談
  5. 意向表明書(LOI)の提出
  6. 基本合意書(MOU)の締結
  7. デューデリジェンス(買収監査)の実施
  8. 最終条件交渉・最終契約書(SPA)の締結
  9. クロージング(決済・引き渡し)

M&A意向表明書の書き方と記載9項目

意向表明書に法律で定められた書式はありません。 しかし、売り手に自社の本気度を伝え、円滑な交渉につなげるためには、いくつかの重要な項目を盛り込む必要があります。 以下に、一般的な9つの記載項目と書き方のポイントを解説します。

1. M&Aのスキーム

どのような手法で会社を譲り受けるかを記載します。中小企業のM&Aでは「株式譲渡」が一般的ですが、「事業譲渡」などの選択肢もあります。 どの資産や事業を譲受の対象とするのか、取得する株式の割合などを明記します。 スキームによって税金や手続きが大きく異なるため、売り手にとって重要な項目です。

2. 譲受希望価額(買収価格)

買い手が想定している買収価格を記載します。デューデリジェンス前の段階であるため、「〇〇円〜〇〇円」のように幅を持たせた価格帯で示すか、「デューデリジェンスの結果に応じて調整する」といった条件を付記することが一般的です。 なぜその価格を提示するのか、算定の根拠を簡潔に示すことで、交渉への誠実な姿勢を伝えられます。

3. 役員・従業員の処遇

M&A後の役員や従業員の雇用について、買い手の考え方を示します。売り手の経営者にとって、従業員の将来は非常に大きな関心事です。 「原則として現行の条件で雇用を継続する」といった方針を示すことで、売り手に安心感を与え、交渉を円滑に進めることにつながります。

4. デューデリジェンス(DD)の実施

買収監査(デューデリジェンス)を実施したい旨と、その範囲や期間の希望を記載します。 財務・法務・税務・労務など、どの分野について調査を行いたいのかを事前に伝えることで、売り手側が準備を進めやすくなります。

5. M&Aのスケジュール

基本合意書の締結、デューデリジェンスの実施、最終契約書の締結、クロージング(決済)までのおおまかなスケジュール案を提示します。 スケジュール感を示すことで、取引に対する準備状況や本気度を伝えることができます。 特に買い手が上場企業の場合、適時開示のスケジュールも考慮に入れる必要があります。

6. 独占交渉権の付与

買い手は、デューデリジェンスに弁護士や会計士などの専門家を起用するため、多額の費用がかかります。 調査期間中に売り手が他の候補と交渉を進めてしまうリスクを避けるため、一定期間、自社だけが交渉できる権利(独占交渉権)の付与を要請するのが一般的です。

7. 秘密保持義務

M&Aの交渉初期に別途「秘密保持契約書(NDA)」を締結することがほとんどですが、意向表明書の内容や交渉の事実そのものを秘密にする義務について、改めて記載することもあります。

8. 有効期間

意向表明書に記載された条件がいつまで有効かを示す期間を設定します。 売り手に検討を促すとともに、市場環境の変化などによって自社の前提条件が変わってしまうリスクに備える意味合いがあります。

9. 法的拘束力の範囲

前述の通り、意向表明書は原則として法的拘束力を持ちません。トラブルを避けるため、「独占交渉権と秘密保持義務を除き、本意向表明書は法的拘束力を有しない」というように、どの条項に拘束力があり、どの条項にないのかを明確に記載することが極めて重要です。

個人M&Aで会社を買う前に知っておきたい注意点

個人や中小企業が意向表明書を提出してM&Aを進める際には、いくつか注意すべき点があります。

安易に高すぎる金額を提示しない

独占交渉権を得たい一心で、根拠の乏しい高額な買収価格を提示することは避けるべきです。デューデリジェンス後に大幅な減額を要求すると、売り手からの信頼を失い、交渉が決裂する大きな原因となります。 あくまで客観的な根拠に基づいた、誠実な価格を提示することが重要です。

専門家への相談を検討する

意向表明書の作成やその後の交渉には、法務、財務、税務などの専門的な知識が不可欠です。M&Aアドバイザーや弁護士、公認会計士などの専門家に相談し、内容の妥当性やリスクについて助言を求めることを強く推奨します。 専門家は、売り手の企業文化なども考慮した書き方についてアドバイスをくれるでしょう。

M&Aのマッチングサイトを活用する

M&Aの交渉は、意向表明書の提出からが本番です。しかし、その前段階である「自社に合った案件を見つける」ことが最初のハードルとなります。M&Aマッチングサイトなどを活用することで、幅広い選択肢の中から、自身の希望や戦略に合った会社や事業を探すことができます。

事業や薬局の買収を検討している方は、買い手として登録し、どのような案件があるか情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。
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まとめ

意向表明書(LOI)は、M&Aのプロセスにおいて、買い手が売り手へ交渉の意思を正式に伝えるための重要な書類です。 法的拘束力は原則としてありませんが、その後の交渉の土台となり、取引の行方を大きく左右します。

今回解説した9つの記載項目と注意点を参考に、自社の買収戦略や誠意が伝わる意向表明書を作成し、円滑なM&Aの実現を目指しましょう。判断に迷う場合は、独断で進めずに専門家のサポートを得ることが成功の鍵となります。

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