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バーチャルオフィスの契約で「本人確認」が必須な理由
低コストで事業用の住所を持てるバーチャルオフィスは、多くの起業家やフリーランスにとって便利なサービスです。しかし、契約しようとすると、運転免許証の提出や顔写真の撮影など、厳格な「本人確認」を求められます。なぜこのような手続きが必要なのでしょうか。
その理由は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」、通称「犯罪収益移転防止法(犯収法)」にあります。 この法律は、マネー・ローンダリング(資金洗浄)やテロ組織への資金提供を防ぐことを目的としています。
バーチャルオフィス事業者は、住所を貸すというサービスの性質上、匿名性が高く犯罪に悪用されるリスクがあるため、犯収法上の「特定事業者」に指定されています。 具体的には、顧客の代わりに郵便物を受け取り、それを顧客に引き渡す「郵便物受取サービス業者」として、法律で定められた義務を負っています。 その最も重要な義務の一つが、契約時の「取引時確認」、つまり本人確認なのです。 この義務を怠った事業者には、行政処分が科されることもあります。
犯罪収益移転防止法が定める「取引時確認」とは
取引時確認とは、事業者が顧客と契約を結ぶ際に、顧客が誰であるか、どのような目的で取引を行うのかなどを確認する手続きです。 バーチャルオフィスの契約では、主に以下の項目が確認されます。
犯罪収益移転防止法が定める「取引時確認」とは
- ✓本人特定事項:氏名、住所、生年月日(個人の場合)、法人の名称と所在地(法人の場合)
- ✓取引を行う目的:事業用、登記用など
- ✓職業または事業内容
- ✓実質的支配者(法人の場合)
特に法人契約の場合、「実質的支配者」の確認が重要になります。
法人の「実質的支配者」とは?
実質的支配者とは、その法人の事業活動に支配的な影響力を持つ個人のことです。 犯収法では、マネー・ローンダリングなどを防ぐため、法人の影に隠れた個人の特定を求めています。 株式会社の場合、以下の順で該当する方が実質的支配者と判断されます。
- 議決権の50%を超える株式を保有する個人
- 上記に該当する個人がいない場合、議決権の25%を超える株式を保有する個人
- 上記にも該当する個人がいない場合、事業活動に支配的な影響力を持つ個人
- 上記にも該当する個人がいない場合、代表取締役
合同会社などの資本多数決法人以外の法人では、収益配当または財産分配の50%超、または25%超を受ける権利を持つ個人、それらがいない場合は代表者が該当します。 バーチャルオフィスの法人契約では、申込者本人だけでなく、この実質的支配者にあたる人物の本人特定事項(氏名・住所・生年月日)も申告する必要があります。
【契約者別】本人確認の具体的な方法と必要書類
本人確認の方法は、大きく分けて「郵送」と「オンライン(eKYC)」の2つが主流です。 ここでは、個人(個人事業主)と法人、それぞれのケースで必要な書類と手続きの流れを解説します。
個人の場合(個人事業主・フリーランス)
個人事業主やフリーランスが契約する場合、事業者本人(契約者)の確認が行われます。
1. 郵送での本人確認
従来からある方法で、以下のような流れで進みます。
- Webサイトなどから申し込み後、本人確認書類のコピーを郵送またはアップロードする。
- バーチャルオフィス事業者が書類を確認する。
- 事業者から申込者の現住所宛に、転送不要郵便で契約書類などが送付される。
- 郵便物を受け取ることで、住所の確認が完了する。
【主な必要書類】
- 顔写真付き本人確認書類(いずれか1点):運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、在留カードなど
- 顔写真なし本人確認書類の場合:健康保険証、年金手帳などは、住民票の写しなど別の確認書類や公共料金の領収書などが追加で必要になる場合があります。
2. オンラインでの本人確認(eKYC)
近年主流となっているのが、スマートフォンを使ってオンラインで本人確認を完結させる「eKYC(electronic Know Your Customer)」です。 郵送の手間や時間がかからず、スピーディに契約を進められるメリットがあります。
一般的なeKYCの流れは以下の通りです。
- スマートフォンのカメラで、本人確認書類(原本)の表面・裏面・厚みを撮影する。
- 次に、自分の顔(容貌)を正面や左右など、指示に従って撮影する。
- 撮影データが送信され、システムが本人確認書類の顔写真と本人の顔が一致するかなどを照合する。
ICチップが内蔵された本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)の場合、スマホのNFC機能でICチップ情報を読み取ることで、より確実な本人確認を行う方法もあります。
【eKYCで利用できる主な本人確認書類】
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- 運転経歴証明書
- 在留カード
法人の場合
法人契約では、①法人そのものの確認、②手続きを行う担当者の本人確認、③実質的支配者の確認、の3点が必要となり、個人契約よりも準備する書類が多くなります。
【主な必要書類】
- 法人の確認書類(発行から3ヶ月〜6ヶ月以内のもの)
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書など)
- 印鑑登録証明書
- 手続き担当者の本人確認書類
- 運転免許証、マイナンバーカードなど(個人の場合と同様)
- 手続き担当者の在籍確認書類
- 社員証、名刺など
- 実質的支配者の本人特定事項を申告する書類
- サービス提供事業者が用意する書式に、実質的支配者の氏名・住所・生年月日などを記入します。
設立前の法人(発起人)が契約する場合は、法人の確認書類がまだ存在しないため、定款の写しや発起人個人の本人確認書類などで手続きを進めるのが一般的です。手続き方法はバーチャルオフィス事業者によって異なるため、事前に確認しましょう。
信頼できるバーチャルオフィスは、こうした法的な義務を遵守し、しっかりとした審査体制を整えています。月額料金の安さだけでなく、運営会社の信頼性も重要な選択基準です。中には月額880円のバーチャルオフィスや、レンタルオフィスも展開するリージャスもあり、選択肢は豊富です。
本人確認ができないとどうなる?
当然ながら、本人確認が完了しなければバーチャルオフィスを契約することはできません。 また、虚偽の書類を提出したり、他人になりすまして契約しようとしたりする行為は、法律で罰せられる可能性があります。
犯罪収益移転防止法に基づく本人確認は、安全なサービス利用環境を維持するために不可欠な手続きです。 面倒に感じるかもしれませんが、法律上の要請であることを理解し、協力することが求められます。
まとめ
バーチャルオフィスの契約時に行われる厳格な本人確認は、「犯罪収益移転防止法」に基づく法的な義務です。 これは、マネー・ローンダリングなどの犯罪を防ぎ、利用者と社会全体の安全を守るための重要な手続きです。
特に、オンライン上で手続きが完結するeKYCは、利用者にとってスピーディで便利な方法として普及しています。 個人事業主であれ法人であれ、契約をスムーズに進めるためには、事前に必要な書類を確認し、不備なく準備しておくことが大切です。 法律を遵守している信頼性の高いバーチャルオフィスを選び、安心して事業をスタートさせましょう。
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