NexoValue

薬剤師のキャリアと、薬局・医療・介護の事業承継を実務目線で解説するメディア

個人M&Aの始め方|会社を買う手順と流れを全解説

執筆者:

カテゴリ:

【広告表示について】当サイトはアフィリエイト広告により運営しています。本記事には広告リンクは含まれていません。広告を掲載する記事には冒頭にその旨を表示します。

結論から先に

この記事で分かること

  • 個人M&Aとは?
  • 個人M&Aの全体的な流れ
  • ステップ1:準備(戦略策定と資金計画)
  • ステップ2:M&Aマッチングサイトで案件を探す
  • ステップ3:交渉と基本合意

個人M&Aとは?

個人M&Aとは、個人が買い手となり、中小企業や小規模事業者の事業や会社を買い取って引き継ぐM&A(合併・買収)のことです。 従来、M&Aは企業間で行われる大規模なものが中心でしたが、近年は後継者不足に悩む中小企業が増加していることや、個人が起業や事業拡大の手段としてM&Aを活用するケースが増えたことから、「スモールM&A」や「マイクロM&A」とも呼ばれる個人によるM&Aが活発になっています。 ゼロから事業を立ち上げるのに比べ、すでに顧客や設備、ノウハウがある事業を引き継ぐため、リスクやコストを抑えて事業を開始できる可能性があります。

個人M&Aの全体的な流れ

個人がM&Aを進める場合も、基本的な流れは法人が行うM&Aと大きくは変わりません。 一般的に、以下のステップで進められます。

個人M&Aの全体的な流れ

  • 1ステップ1:準備(戦略策定と資金計画)
  • 2ステップ2:M&Aマッチングサイトなどで案件を探す
  • 3ステップ3:交渉と基本合意
  • 4ステップ4:デューデリジェンス(買収監査)の実施
  • 5ステップ5:最終契約とクロージング
  • 6ステップ6:M&A後の統合プロセス(PMI)

各ステップについて、具体的に見ていきましょう。

ステップ1:準備(戦略策定と資金計画)

買収目的と戦略の明確化

まず、「なぜ会社を買うのか」「どのような事業を行いたいのか」という目的を明確にすることが重要です。自身の経験やスキルが活かせる業種、興味のある分野、予算の上限、希望する事業規模などを具体的に整理し、買収戦略を立てます。これにより、数多くの案件の中から自社に合ったものを効率的に探せるようになります。

資金計画(自己資金と融資の検討)

M&Aには、買収対価のほか、仲介手数料やデューデリジェンス費用、登記費用などの諸経費がかかります。自己資金でどの程度まかなえるかを把握し、不足分については融資を検討します。国の金融機関である日本政策金融公庫では、事業承継を支援するための融資制度を用意しています。 例えば、「事業承継・集約・活性化支援資金」は、事業を譲り受ける際の株式取得資金や、承継後の運転資金などに利用できる制度です。 こうした公的融資は、民間の金融機関に比べて金利等の面で有利な場合があるため、早い段階から相談してみるのがよいでしょう。

ステップ2:M&Aマッチングサイトで案件を探す

かつてM&Aの案件探しは専門家を通じた紹介が主でしたが、現在はオンラインのM&Aマッチングサイトが普及し、個人でも手軽に案件を探せるようになりました。 金融機関や、全国47都道府県に設置されている事業承継・引継ぎ支援センターでも相談が可能です。

M&Aマッチングサイトの見方とポイント

マッチングサイトには、売り手企業が匿名で登録した事業概要、財務情報(売上・利益)、希望売却価格などが掲載されています。これらの情報(ノンネームシートと呼ばれます)を見て、興味のある案件を探します。気になる案件が見つかったら、サイトを通じて売り手側にコンタクトを取ります。より詳細な情報を開示してもらうためには、秘密保持契約(NDA)を締結するのが一般的です。

案件を検討する際は、希望価格だけでなく、事業の将来性、自らのスキルとの相性、引き継げる従業員や取引先、そして最も重要な「売却理由」をよく確認することが大切です。単なる業績不振だけでなく、「後継者不在」や「経営者の健康問題」など、前向きな理由で売却される優良案件も存在します。

どのような事業や薬局を買うべきか迷っている方や、まずは情報収集から始めたい方は、専門のプラットフォームに登録して具体的な案件に触れてみるのが第一歩です。
事業・薬局を買いたい方の無料登録(NexoValueの自社ページ)

ステップ3:交渉と基本合意

トップ面談と条件交渉

秘密保持契約を締結後、売り手企業の経営者との面談(トップ面談)を行います。ここでは、事業内容や従業員の状況、経営課題など、書面だけではわからない情報を直接ヒアリングします。買い手として事業を成長させていく意欲やビジョンを伝える重要な場でもあります。面談を経て双方が前向きに進める意思を確認できたら、買収価格やスケジュール、従業員の処遇といった基本的な条件交渉に入ります。

基本合意書(LOI)の締結

基本的な条件で大筋合意に至ったら、その内容をまとめた「基本合意書(Letter of Intent)」を締結します。基本合意書には、通常、法的拘束力はありませんが、今後の交渉の土台となる重要な文書です。また、買い手側が安心してデューデリジェンス(後述)を行えるよう、一定期間、他の買い手候補と交渉しないことを約束する「独占交渉権」を盛り込むのが一般的です。

ステップ4:デューデリジェンス(買収監査)の実施

基本合意後、最終契約の前に、買い手は売り手企業の価値やリスクを詳細に調査します。これを「デューデリジェンス(DD)」と呼びます。 調査は主に以下の分野で行われ、必要に応じて公認会計士や弁護士などの専門家と協力して進めます。

ステップ4:デューデリジェンス(買収監査)の実施

  • 1財務DD:決算書の内容が正しいか、簿外債務(帳簿に載っていない負債)や粉飾がないかなどを調査します。
  • 2法務DD:定款や登記簿の確認、契約書に不利な条項がないか、許認可は適切に取得されているか、訴訟などの紛争を抱えていないかなどを調査します。
  • 3ビジネスDD:事業の強みや弱み、市場での競争力、取引先との関係、M&A後の事業計画の実現可能性などを評価します。

デューデリジェンスの結果、事前に知らされていなかった重大なリスクが発見された場合は、買収価格の減額交渉を行ったり、場合によっては取引を中止したりすることもあります。

買収手法の選択:株式譲渡と事業譲渡の違い

中小企業のM&Aでは、主に「株式譲渡」と「事業譲渡」という2つの手法が用いられます。 どちらを選ぶかによって、手続きや引き継ぐものの範囲、税金などが大きく異なるため、違いを正しく理解しておく必要があります。

項目 株式譲渡 事業譲渡
譲渡対象 会社の株式(経営権) 事業に関する資産・負債・契約など
特徴 会社を丸ごと引き継ぐ。 引き継ぐ対象を個別に選択できる。
手続き 比較的簡便。株主が変わるだけ。 資産や契約ごとに移転手続きが必要で煩雑になりがち。
許認可 原則としてそのまま引き継がれる。 原則として買い手が新規に取得し直す必要がある。
負債 簿外債務も含め、原則すべて引き継ぐ。 契約で合意した範囲の負債のみ引き継ぐ。
税金 譲渡益に対し、売り手株主(個人)に所得税・住民税がかかる。 譲渡益に対し、売り手法人に法人税がかかる。課税資産には消費税も発生。

個人M&Aでは、会社全体をシンプルに引き継げる株式譲渡が選ばれることが多いですが、特定の事業だけを買いたい場合や、不要な負債のリスクを避けたい場合には事業譲渡が適しています。

ステップ5:最終契約とクロージング

最終契約書(SPA)の締結

デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な買収価格や条件を確定させ、「最終契約書(株式譲渡契約書や事業譲渡契約書)」を締結します。この契約書は法的な拘束力を持ち、M&Aの取引内容を正式に決定するものです。

クロージング

契約書で定められた日に、買収代金の決済と、株式や事業用資産の引き渡しを行います。この手続きを「クロージング」と呼びます。クロージングをもって、M&Aの取引は完了し、経営権が買い手に移転します。

M&A後の許認可の引き継ぎに注意

特に注意が必要なのが、事業に必要な許認可の扱いです。 建設業、運送業、飲食業、薬局、宅建業など、多くの事業は行政の許認可がなければ運営できません。

  • 株式譲渡の場合:会社の法人格はそのままなので、許認可も原則として引き継がれます。 ただし、役員の変更などに伴い、行政庁への届出が必要な場合があります。
  • 事業譲渡の場合:事業を行う主体が変わるため、原則として買い手が許認可を新規に取得し直さなければなりません。 許認可の取得には時間がかかる場合や、特定の資格を持つ人材の確保が要件となっている場合があるため、M&Aの計画段階から行政書士などの専門家に相談し、手続きを確認しておくことが不可欠です。

まとめ

個人M&Aは、後継者不在の事業を救い、個人にとってはリスクを抑えて事業主となるチャンスを提供する有効な手段です。そのプロセスは、準備、案件探し、交渉、デューデリジェンス、契約と多岐にわたります。 特に、株式譲渡と事業譲渡の違いや、許認可の引き継ぎといった法務・実務面のポイントを正しく理解することが成功の鍵となります。

M&Aは大きな決断であり、財務や法務など専門的な知識が求められる場面も少なくありません。中小企業庁が策定した「中小M&Aガイドライン」などを参考にしつつ、必要に応じてM&A仲介会社や公認会計士、弁護士といった専門家のサポートを活用しながら、慎重に進めることが重要です。

まずはM&Aマッチングサイトなどでどのような案件があるのかを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。
事業・薬局を買いたい方の無料登録(NexoValueの自社ページ)

## 関連記事

– [薬局はいくらで売れる?企業価値評価の考え方と相場感【M&A仲介の実務目線】](https://nexovalue.com/cnt-m2-pharmacy-value/)
– [薬局を買って独立する方法|ゼロ開局よりリスクを抑える買収という選択肢](https://nexovalue.com/cnt-m3-buy-independence/)
– [後継者不在の薬局はどうすればいい?廃業・事業承継・M&Aの選択肢を比較](https://nexovalue.com/cnt-m4-successor-options/)
– [薬局M&Aとは|仕組みと基本的な流れをわかりやすく解説](https://nexovalue.com/cnt-s4-manda-basics/)

関連記事

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です